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損益相殺の基準は?

Q 損益相殺の基準は?

損益相殺とは

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損益相殺とは、交通事故の被害者が事故により損害を被るのと同時に、同一の原因により利益を受ける場合には、損害と利益との間に同質性がある限り、公平の見地から、その利益の額を被害者の加害者に対して求める損害賠償額から控除することをいいます(最高裁平成5年3月24日判決)。

これは、簡単に言えば二重取りを防止し公平を図るためのものです。

損益相殺の基準

弁護士

損益相殺の認められる基準として、裁判所は、

ⅰ)交通事故を原因として受けた利益であること

ⅱ)損害と利益との間に同質性があること


を挙げています。

まず、ⅰ)について、最高裁は、交通事故により被害者が死亡した場合において遺族の受け取った生命保険について、損益相殺を認めなかった理由として、生命保険金は既に払い込んだ保険料の対価たる性質を有し、もともと不法行為の原因と関係なく支払われるものであるからとしています(最高裁昭和39年9月25日判決)。

次に、ⅱ)について、最高裁は、被害者死亡の交通事故に関して、既に受給あるいは支給が確定した遺族基礎年金及び遺族厚生年金について、損益相殺の対象とはなるものの、相殺の対象となる損害は逸失利益に限定されるとしました(最高裁平成11年10月22日)。これは、遺族年金は、遺族の扶養のための利益であり、損益相殺の対象は、これと同質性のある逸失利益の範囲に限定され、その他の財産的損害や精神的損害との間で損益相殺することはできないとしたものです。

損益相殺の対象となるもの、ならないもの

損益相殺の対象についての概要は次の表のとおりです。

損益相殺の
対象となるもの
自賠法16条に基づく被害者請求による損害賠償額
労災保険に基づく給付
公的年金制度に基づく給付
公的医療保険(健康保険法や国民健康法)に基づく給付
生活保護法による扶助費
自動車保険のうち、対人・対物責任保険、
人身傷害保険、無保険車傷害保険
所得補償保険
損益相殺の
対象とならないもの
社会復帰促進等事業による特別支給金
自動車保険のうち、自損事故保険、搭乗者傷害保険
生命保険契約、損害保険契約に基づく給付

以下に、給付ごとの具体的なご説明をいたします。

1:自賠責保険

自賠法16条に基づく被害者請求による損害賠償額は、損益相殺の対象となります

ただし、被害者の損害額のうち、人身損害に対してのみ控除することになります。

2:社会保険給付

社会保険給付については、給付の目的・性質、代位規定の有無等から損益相殺該当性が判断されますが、加えて、給付の目的・性質に従い、費目限定があるという点に注意が必要です。

(1)労災保険

ア.通常の給付

労災保険については、代位規定があるため、損益相殺の対象になります。 給付の性質に応じて、控除される対象が異なります。①療養給付は治療費、②休業給付、障害給付、傷病給付については休業損害及び逸失利益、③遺族給付は死亡逸失利益、④相殺給付は葬儀関係費、⑤介護給付は介護費用に対して控除されると解されます。

イ.特別支給金

社会復帰促進等事業による特別支給金については、損益相殺の対象にはなりません。労働福祉事業の一環として行われ、代位規定もないことから損害填補の性質はないと解されるためです。

(2)公的年金制度に基づく給付

公的年金制度に基づく給付についても損益相殺の対象となります。
遺族年金の控除の対象は、逸失利益についてのみです(費目限定)

(3)公的医療保険制度による給付

健康保険法や国民保健法に基づく給付についても、代位規定があり損益相殺の対象となります。ただし、給付の性質により、療養給付は治療費、傷病手当金は休業損害に対して控除されることになります。

(4)生活保護法による扶助費

生活保護法による扶助費については、従前は控除対象にはならないとされていました(最判S46.6.29)が、生活保護法の改正により代位規定が設けられたことで、損益相殺の対象となると解されています

3 自動車任意保険

(1)対人・対物責任保険

責任保険とは、被保険者が損害賠償の責任を負うことによって生じる損害を填補するための保険であり、責任を負担する加害者のための保険です。
責任保険に基づく給付は、損害填補が目的ですから、損益相殺の対象になります

(2)傷害保険

傷害保険とは、被保険者の傷害を原因として保険給付がなされる保険です。

ア.人身傷害保険

人身傷害保険とは、車両の運行に起因する事故等による傷害に対する保険です。当該保険による給付により、保険者は、被害者の損害賠償請求権を代位取得する結果、被害者が損害賠償請求権を喪失すると解されています。したがって、損益相殺的な調整の対象となると解されています

イ.無保険車傷害保険

無保険車傷害保険とは、無保険自動車により被保険者が被った損害について、賠償義務者がある場合に限り、保険給付がなされる保険です。 保険代位又は約款の規定により保険者が被害者の損害賠償請求権を代位取得することから、損益相殺の対象になります

ウ.自損事故保険

自損事故保険とは、自損事故により被保険者が傷害を被った場合に保険給付がなされる保険です。当該保険については、定額給付方式であり損害填補を目的としないものであるため損益相殺の対象になりません

(3)車両保険

車両保険は、偶然の事故により被保険自動車に損害が生じた場合に保険給付がなされる保険です。保険者は、給付により被害者の損害賠償請求権を代位取得するため、損益相殺の対象となります。損益相殺の仕方については、被保険者に過失がある場合、当該被保険者自身の過失部分から充当されると解されます。

4 その他保険

(1)生命保険契約、損害保険契約に基づく給付

これらの給付は、被保険者の支払っている保険料の対価として支給されるものであることから、損益相殺の対象にはなりません

(2)所得補償保険

所得補償保険とは、被保険者が傷害又は疾病のために就業不能となった場合に、被保険者が喪失した所得を填補するための保険です。保険者は、当該給付により被害者の損害賠償請求権を取得する結果、被害者は損害賠償請求権を喪失すると解されます。したがって、損益相殺の対象となります

5 損益相殺の範囲と対象

損益相殺についてご説明いたしましたが、そもそも損益相殺の対象になるかどうかという問題だけでなく、どの範囲で対象となるかという問題もあります。

詳細は給付ごとで異なりますので、不明点や不安に思った場合には、一度弁護士にご相談ください。

名古屋総合法律事務所では、初回および2回目の相談料を無料とさせていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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