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妻が亡くなった場合(ケース1)

Q 平成19年4月12日の交通事故で主婦をしている妻甲野花子(事故当時35歳)が死亡しました。花子の受傷から生じた損害はいくらですか。主婦の逸失利益の算定はどのようにしますか。 交差点での車対車の衝突事故でした。 治療費58万円、葬儀の費用150万円かかりました。 妻は専業主婦で、私が働いて一家を養っています。

総論

損害には、積極損害、消極損害、慰謝料の3つがあります。

 

積極損害

1. 積極損害

積極損害とは、事故によって支出を余儀なくされた損害のことを言います。積極損害に含まれる費用としては、治療費、入院費、付添看護費、交通費、入院雑費、装具費などがあります。

2. 本件

治療費、葬儀費が積極損害となりますので、58万+150万=208万円が積極損害となります。

 

消極損害

1. 消極損害

消極損害とは、被害者が事故に遭わなければ得られたであろうと考えられる利益を失ったという損害を言います。消極損害には、逸失利益と休業損害の2つが考えられます。

2. 本件

電卓

専業主婦の死亡逸失利益

(ア)計算方法

逸失利益とは、交通事故で被害者が亡くなった場合、もし被害者が生きていたとしたら、将来どれだけの利益を得られたかという利益を言います。

逸失利益の計算方法は、「被害者の基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に応じた係数(ライプニッツ係数)」となります。

ここで、専業主婦の方は、収入があるわけではないですが、判例は、主婦の家事労働は財産上の利益を生ずるものであって、これを金銭的に評価することは可能であり、専業主婦である妻は、平均的労働不能年齢に至るまで、女子雇用労働者の平均賃金に相当する財産上の収益を上げることが推定できるとして、主婦に逸失利益を認めました。

もっとも、逸失利益が肯定される家事労働とは、他人のための家事労働であることが必要です。従って、一人暮らしで専ら自分のために家事労働を行っている場合には、逸失利益は認められません。

そこで、専業主婦の死亡逸失利益の算定は、 「賃金センサスの女子労働者の平均賃金(年収)×(1-本人の生活費率(30~40%))×((67-死亡時年齢)に対応するライプニッツ係数)によって行います。

 

(イ)賃金センサス 賃金センサスとは、統計法に基づき実施されている賃金構造基本統計調査の報告書のことを言います。上記のように、主婦の方は実際に収入を得ているわけではないので、家事を賃金に換算するために、統計上の平均賃金を年収として計算します。

 

(ウ)生活費 生活費は、実際に死亡者が生きていた場合に、消費されるはずの分を控除するための項目です。これは、各ケースの具体的事情に応じて裁判所が決めます。現在、判例では、収入の約30~40%が生活費として算出されます。本ケースの素材となった事件でも、30パーセントが生活費として控除されています。

 

(エ)(67-死亡時年齢)に対応するライプニッツ係数 損害賠償金は一時金として受領するものなので、将来長期間にわたって発生する収入減少を一時金に算定しなおすためには中間利息を控除する必要があります。それがライプニッツ係数です。これは、就労可能年数に応じて決まっています。

花子は35歳です。そして、就労可能年数は原則として67歳とされています。とすれば、67-35=32に対応する当時のライプニッツ係数は15.8027となります。

 

(オ)本件 本件事故当時の平成19年賃金センサス学歴系・企業規模計・女性労働者全年齢平均賃金346万8800円が基礎収入額となります。
また、生活費控除率は30パーセントとなり、ライプニッツ係数15.8027を乗じて中間利息を控除すると、 346万8800円×(1-0.3)×15.8027=3837万1484円となります。

 

慰謝料

1. 慰謝料の基準

死亡の時の慰謝料は、「交通事故損害額算定基準」(日弁連)に基準が定められています。

  1. 死者が一家の支柱である時 2700~3100万円
  2. 死者が一家の支柱に準ずるとき 2400~2700万円
  3. その他 2000~2500万円 となっています。

2. 本件

本件で、甲野家は夫が一家の支柱であり、花子は主婦であるから、③のその他に該当する。ケースの素材となった裁判例では、2400万円が認定されました。

 

結論

今回の専業主婦の場合は、積極損害と逸失利益と慰謝料を足した 208万円+3837万1484円+2400万円=6445万1484円が花子の受傷から生じた損害になります。

 

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