祖母が亡くなった場合 | 名古屋市の交通事故、後遺障害に強い弁護士の無料相談|愛知県

祖母が亡くなった場合

Q 祖母甲野花子(事故当時60歳、死亡時63歳、主婦)は、平成15年3月8日、信号機により交通整理されている交差点において、対面する信号機が青だったことから自転車を運転して走行していたところ、その横断していた道路を走行してきた車に衝突されて脳挫傷等の傷害を受けて、寝たきりの状態となり3年後に死亡しました。花子が受傷から生じた損害はどうなりますか。 治療費は134万3255円かかりました。 付き添い看護料は855万4000円かかりました。 花子は、本件事故が発生した当時65歳で職業を有していた夫の甲野太郎との家庭で、主婦として家事等をやってくれていました。 また、花子は国民年金及び厚生年金保険をすべて支払っていました。その額は、1年あたり146万2100円でした。

積極損害

 治療費と付き添い看護料は積極損害に入るので、積極損害は989万7255円となります。

 

消極損害

 逸失利益
(ア)休業損害
(a)休業損害

 休業損害とは、交通事故により受けた傷害を治療するため、休業を余儀なくされるので、その間収入を得られなかったことによる損害を言います。事故により死亡する場合、死亡するまでの損害は休業損害とされ、死亡後は逸失利益として計算されます。

 

(b)計算  休業損害は、事故当時の収入に休業日数を乗じて計算されます。  したがって、計算式は  1日の基礎収入×休業日数=休業損害となります。

 

(c)主婦等家事従事者の休業損害

 主婦等家事従事者は収入はありません。しかし、家事労働も財産的評価が可能なため、受傷のため家事に従事することが出来なかった期間について、休業損害を請求することが出来ます。  ここで、専業主婦の場合、基礎収入は賃金センサスの時女子労働者の全年齢平均賃金または年齢別平均賃金によって計算されます。有職主婦の場合、現実の収入額が、賃金センサスの女子労働者平均賃金より低いときは平賃賃金を、平均賃金より高いときは現実の収入額を基礎収入として計算することになります。

 

(d)本件

 本ケースの素材判例では、花子は、本件事故が発生しなかった場合、22年の余命(平成18年簡易生命表)のうち少なくとも9年間にわたり、家事に従事していたものであろうと認められています。したがって、休業日数は9年間となります。そして、基礎収入は花子が死亡した平成18年の賃金センサスの女性労働者の60-64歳までの平均年収額が286万1400円であることから、これを基礎年収として計算します。そして、生活費控除の割合を3割とし、9年に対応するライプニッツ係数が7.1078となるので、計算式すると、 286万1400円×(1-0.3)×ライプニッツ係数7.1078=1423万6781円が休業損害となります。

(イ)年金等

電卓

(a)受給資格

 年金受給前に事故で死亡した場合、将来の年金に対する逸失利益は認められるのでしょうか。  これは、受給資格をすでに取得しているかどうかによります。

 

(b)計算式

 逸失利益とは、交通事故で被害者が死亡した場合、もし被害者が生きていたとしたら、将来どれだけの利益を得られたかという利益を言います。  そうすると、計算式は、 「受給していた年金額×(1-生活控除率)×死亡時年齢からみた平均余命数に応じたライプニッツ係数」となります。

 

(c)生活費控除率

 年金の逸失利益と生活控除率についてくわしくは「祖父が亡くなった場合」をご覧ください。

 

(d)本件

 花子は、国民年金及び厚生年金保険の受給資格を得ていました。そして、その額は1年あたり146万2100円となっていました。そして、生活費控除率は本ケースの素材判例では、60%と認定されています。そして、ライプニッツ係数は6.0552とされました。これをもとに計算すると、 146万2100円×(1-0.6)×6.052=354万1323円が年金等の逸失利益となります。

 

慰謝料

(ア)慰謝料

 慰謝料とは、財産権以外の損害、つまり、精神的・肉低的苦痛による損害の賠償のことを言います。自動車事故による慰謝料額については、自動車事故の多発化を契機に定額化するようになりました。その理由は、4つあります。

 1つ目は、被害者相互間の公平性です。同様の事故、同程度の侵害行為、被害者が職業・年齢・性別・社会的地位等を同じくする場合にもかかわらず、全くことなる損害賠償額となれば、損害賠償における公平の原則に反します。また、被害者に不公平な結果をもたらし、裁判に対する不信につながります。
2つ目は、事件の迅速な処理のためです。自動車事故は同種類で大量に起こるので、これを迅速に処理する必要があります。
3つ目は、裁判官の自由裁量を制限することにあります。損害賠償において公平な処理は重要です。裁判官には一定の自由裁量が認められるとしても、同種同類の事案で異なる判断をすることは公平の原則に反します。
4つ目は、予測可能性の確保にあります。損害賠償額が予測できることによって、示談による解決が容易になります。

(イ) 傷害の場合の慰謝料
(a)自賠責保険基準

 自賠責保険では、支払い基準が法定されています(自賠法16条の3)。

 これによると、日額4200円で被害者の傷害態様、実治療日数等を勘案して治療期間の範囲内で支払われることになります。実際は、治療機関の範囲内で実治療日数の2倍を限度として算定されることが多いです。もっとも、保険金支払限度額120万円の範囲内が上限となります。

 

(b)赤い本・青本基準

 傷害の場合の慰謝料は、

  1. 入・通院慰謝料(入・通院期間日数に対応する慰謝料額)
  2. 後遺障害のある場合は、後遺障害に対する慰謝料(後遺障害の程度に対応する慰謝料額)
  3. を分けて、それぞれ算定します。そして、財団法人日弁連交通事故相談センターの『交通事故損害賠償算定基準』(青本)、『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(赤い本)が算定の基準として機能します。

(ウ)死亡した場合の慰謝料
(a)自賠責基準

 自賠責保険での死亡慰謝料は、死亡者本人に対し、250万円、遺族慰謝料として請求権者1名の場合に550万円、2人の場合に650万円、3人以上の場合に750万円となっています。被害者に扶養者がいる場合はされに200万円を加算することとなっています。したがって、自賠責保険から給付される最大死亡慰謝料額は、本人分350万円、遺族慰謝料750万円、扶養加算200万円の計1300万円となります。

 

(b)赤い本・青本基準

 赤い本・青本基準では、一家の支柱であるかどうかで区分し、一家の支柱の場合の保護を厚くしています。一家の支柱とは、当該被害者の世帯が、主として被害者の収入によって生計を維持している場合の人のことを言います。 死亡した場合の慰謝料は、死者が、一家の支柱ではない場合、慰謝料は2000~2500万円が基準となります。

(エ)本件

 本ケースの素材となった判例では、傷害の慰謝料について、赤い本・青本基準を用いい、本件事故の態様、花子の受けた傷害の内容や程度等、それに対する長期にわたる入院の必要等の事情に照らし、520万円の慰謝料を認めました。

 死亡に関する慰謝料については、赤い本・青本基準を用い、花子は主婦で一家の支柱ではないことから、本ケースの素材判例でも2500万円の慰謝料を認めています。
 したがって、合計3020万円が慰謝料となります。

 

結論

 したがって、積極損害と消極損害と慰謝料を足した146万2100円(989万7255円)+354万1323円(1423万6781円+354万1323円=1777万8104円)+3020万円=8023万3423円(5787万5359円)が花子が受傷から生じた損害額となります。

 

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