交通事故における過失相殺 | 名古屋市の弁護士の交通事故,後遺障害,死亡,人身損害事故の相談|愛知県岡崎市

交通事故における過失相殺

Q 先日車同士の交通事故を起こしました。その事故により、私はケガをしたのですが、相手の方もケガをしています。
この場合は、私が請求できる損害賠償額は、減少するのでしょうか?

回答

単独事故でない交通事故は、各々の当事者の不注意が原因で起こるものなので、その不注意の割合(過失割合)に応じて賠償額の減額調整が行われるのが通常です。
以下、この過失割合による損害賠償額の減額調整としての過失相殺制度について解説していきます。

第1 過失相殺とは?

そもそも、過失とは、法律用語としての意味は損害発生の予見可能性があるのにこれを回避する義務を怠ったことといわれ、一般的に「不注意」のことをいいます。
そして、過失相殺とは、被害者が損害賠償を請求する場合に、その賠償額の算定において、被害者側にも過失があるならば、その過失割合(例えば、7:3というように、割合を決めます)に応じて損害賠償額を減額することをいいます。

民法722条2項は、過失相殺について

「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」

と定めています。
この過失相殺制度は、損害の発生に被害者の不注意も寄与している場合、加害者との公平のためにそのことを損害の金銭的評価において斟酌する制度です。

第2 過失相殺はどのように行われる?

上記に述べたように、過失相殺は当事者双方の過失割合に応じて減額調整することとなりますが、この過失割合は保険会社や弁護士との示談交渉により決まるのが通常です。この割合に争いがある場合は裁判で争うこととなります。
そして、この示談交渉で基準となるのが、過去の裁判例です。
全く同じの交通事故はありませんが、過去の裁判例の集積により、類似事例における過失割合の基準が確立されているのです。

ここで、過失相殺について当事者が主張する必要があるかという問題を挙げたいと思います。 といいますのも、民事訴訟においては、私的自治の尊重から、判決の基礎となる事実に関する資料の収集・提出は当事者の権能・責任であるとする弁論主義が適用されており、この原理に基づくと、当事者が主張していない事実を判決の基礎とすることはできません。
もっとも、この過失相殺の主張(加害者からの抗弁)について、最高裁判所は、不法行為に基づく損害賠償請求における過失相殺において、裁判所は職権で過失相殺ができ、加害者から過失相殺の主張があることは要しないと判断し(最三小判昭和41年6月21日)、債務不履行における過失相殺において、最高裁判所は、債務者の主張がなくても過失相殺はできるが、債権者に過失があった事実は立証責任を負うという判断をしています(最三小判昭和43年12月24日)。
そのため、これらの裁判例から、少なくとも、過失相殺により何割減額すべきであるとの主張(これを権利抗弁といいます。)は不要であることには見解が一致しておりますが、加害者が被害者の過失を基礎付ける事実を主張する(これを事実抗弁といいます。)必要があるかについては見解が一致しておりません。
したがって、訴訟においては、加害者側は、被害者の過失を基礎付ける事実を主張してくるものと考えられます。

ただし、過失相殺するかどうか、またどのような過失割合により過失相殺を行うかは、裁判官の裁量とされています(最(1)判昭和34年11月26日民集13-12-1562)。
このように、過失相殺による損害賠償の減額調整は、裁判官の裁量性が強い事項であり、実際に裁判により争わないとどのように判断されるのかわからないともいえますが、裁判所は、過去の裁判例や当事者の主張に照らして過失割合を判断することになります。
なお、過失割合の基準として、判例や裁判例によることを上述しましたが、詳しくは「別冊判例タイムズ」の38号や日弁連交通事故センター東京支部から出版されている「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(通称「赤い本」)にまとめられており、特に別冊判例タイムズで記載されている事故態様の場合には、裁判所は、そこで設けられている基準に基づいて判断することが多いです。

以上、過失相殺による損害賠償額の減額調整について解説しましたが、保険会社から提示される過失割合に納得のいかない場合は、自ら弁護士に相談ないし、「別冊判例タイムズ」「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」を参考にし、納得いくまで示談交渉をすることが必要でしょう。

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