重傷事故
重傷事故
1. 定義
重傷事故とは、どのような事故のことを言うでしょうか。
「交通事故」とは、道路交通法2条1項1号に規定する道路において、車両等及び列車の交通によって起こされた事故で、人の死亡または負傷を伴うもの(人身事故)を言います。
「死亡」とは、交通事故によって、発生から24時間以内に亡くなった場合を言います。
「重傷」とは、交通事故によって負傷し、1か月以上治療を要する場合を言います。
「負傷」とは、「重傷」と「軽傷」の合計を言います。
したがって、交通事故による重傷者とは、道路交通法2条1項1号に規定する道路において、車両等及び列車の交通によって起こされた事故で、1か月以上治療を要する負傷を伴うものを言います。
2. 被害者のダメージ
交通事故の被害に遭うことで、被害者や遺族に多大な損失が生じます。その損失は肉体的な面のみならず、精神的なもの、経済的なものまであります。では、具体的にどのような損失が生じるでしょうか。
⑴ 精神的ダメージ
ア 被害者
内閣府による調査によると、重傷事故の被害者は、また同じ事故に遭うことが心配、事故にかかわることは考えないようにしている、事故は偶然だったと思う、事故を思い出させるようなものや場所を避けてしまうという回答が多いです。
このように、被害者の精神的ダメージは根深いといえます。(詳しくは内閣府共生社会政策「交通事故被害者実態調査」)
イ 遺族
また、遺族の場合、事故について思い出させるものに触れると辛い、事故にかかわることは考えないようにしている、事故を思い出させるようなものや場所を避けてしまう、事故のことについて考え込んでしまうという回答が多いです。
⑵ 身体的ダメージ
被害者は、身体的な被害を被っています。実際、体の調子が悪い、身体の機能が損なわれている、傷跡が残っている等、後遺症に悩んでいることが多いです。
⑶ 生活への影響
交通事故によって被害者は、外出すること、趣味や遊びをしなくなること、経済的に苦しくなることを生活の変化としてあげることが多いです。
また、その遺族は、家庭内の人間関係が悪くなることが変化としてあげられることが多いです。このように、多くの人は事故による身体的、精神的ダメージのみならず、二次的被害を受けています。
そして、被害者が長期の治療となれば、その経済的負担は家族にのしかかります。
3. 発生件数
平成26年の交通事故の発生状況は、
件数・人数 | 前年比 | ||
---|---|---|---|
発生件数 | 573,842件 | -55,179件 | -8.8% |
うち死亡事故件数 | 4,013件 | -265件 | -6.2% |
重傷事故件数 | 39,496件 | -2,865件 | -6.8% |
軽傷事故件数 | 530,333件 | -52,049件 | -8.9% |
死者数 | 4,113人 | -260人 | -5.9% |
負傷者数 | 711,374人 | -70,120人 | -9.0% |
うち重傷者数 | 41,658人 | -2,889人 | -6.5% |
軽傷者数 | 669,716人 | -67,231人 | -9.1% |
出典:交通事故総合分析センター
となっています。
自動車の安全性能が向上し、警察による取り締まりが強化していることから交通事故は減少傾向にあるものの、なお多くの重傷事故が発生しています。
4. 損害賠償の問題
重傷事故に遭った場合、治療費、付添看護料、休業損害、通院交通費、傷害慰謝料等の損害があります。その中でも、特に問題となるのが、後遺障害の損害、つまり逸失利益と後遺障害慰謝料です。
⑴ 逸失利益
逸失利益とは、被害者が症状固定になって以降、稼ぎ損なうであろう収入を言います。
これは、自賠責保険の認定等級に従って概ね決められます。計算の根拠となるのは、労働能力喪失率、つまり失われた労働能力の割合です。ところが、保険会社は労働能力喪失率を自賠責基準よりも低めに算定して、金額を提示するために、問題となることが多いです。
また、金額が高くなる裁判所基準ではなく、自賠責基準で算定して金額を提示するため、問題となることが多いです。
⑵ 慰謝料
算定基準は3つあります。自賠責保険の基準、任意保険の基準、裁判所基準です。
後者のものほど、金額は高くなります。もっとも、保険会社は、できる限り支払いを低くしたいとするので、金額が低くなる算定基準を用いて金額を提示します。そのため、問題となることが多いです。
5. 重傷事故における課題、問題、困難
⑴ 重傷事故の捜査(2次被害)
重傷事故の捜査において、捜査の仕方は事務的に感じること、警察官の接し方から、辛かったり、不愉快に思ったこと等、捜査状況や捜査結果について説明不足な点が問題点としてあります。
したがって、捜査過程における被害者に対する二次的被害を防止するため、事情聴取や被害者連絡等の実施に当たり、被害者の心情に配慮することが必要です。
⑵ 刑事手続き
殺人事件等に比べて交通事故加害者の刑罰が軽すぎる、警察や裁判所において、加害者は自分の言い分を主張できるのに、被害者にはその機会が少ないという声が、遺族の方から聞かれます。
⑶ 介護の問題
ア 後遺障害の介護の問題
今まで健康だった家族が交通事故によって後遺障害を負った場合、人為的な出来事によって、不幸が生じたという怒りや憤りが家族に存在します。
そのため、精神的ストレスは大きいです。介護によって、行動が制限されたり、介護に時間がとられたり、経済的な不安、将来の不安からそのストレスは生じます。そのため、介護に疲れてしまうこともあります。
イ 介護者なき後
交通事故によって、重度後遺障害者の子供を持つ親である介護者がなくなった場合や自らが介護できなくなった場合、子供の将来を不安に思い、精神的な負担となることがあります。
実際、親なき後に子供の介護を頼める人は少ないです。
このように、介護者なき後は、重度後遺障碍者の家族にとって、非常に深刻な問題です。
⑷ 支援体制の乏しさ
重傷事故に遭った場合、事故の直後は生命の危機が考えられるような状態が多く、家族は病院に通い、ひたすら本人の安否に気を遣う毎日となります。そうすると、賠償を求めたり、裁判を起こす余裕が起きません。
そのため、司法関係者、保険会社、加害者側の提供するものを受け入れるだけになる場合もあります。
そこで、保険制度の説明や損害賠償の請求についての援助、示談交渉の仕方等のアドバイスを援助等情報提供をする必要があります。
6. 重傷事故での交通事故弁護士のサポートの重要さ
⑴ フットワークのいい弁護士
例えば、交通事故に遭って後遺症が生じた場合、損害額は高額になることが多いです。
そして、前述のように、後遺症の評価について、自賠責保険による後遺障害等級の認定は重視されます。
そうすると、後遺症が残った場合に適正な額の損害賠償を受けるためには、自賠責保険に後遺障害の認定を行い、後遺症に見合った等級の認定を受けることが重要です。
そのためには、事故直後治療中に行う、後遺障害診断書作成前の検査が不適切であったり、後遺障害診断書の記載内容が不十分であると問題があります。
そこで、事故直後治療中という早期の段階での弁護士のサポートを受けることが必要です。名古屋総合法律事務所では交通事故専門の弁護士がおり、依頼者のために迅速にサポートを提供する体制が整っています。
⑵ 当事務所の弁護士
何の落ち度もなく生活をしていただけで、不幸にも交通事故に遭ってしまった場合、被害者、その家族は大変辛い思いをされます。
仕事を休まざるを得なくなったり、治療のために収入が減ることも多く、精神的な負担のみならず、経済的、社会的負担も大きいです。また、事件の処理をする際に、加害者や保険会社から心無いことを言われ、さらに苦痛を受ける方もいらっしゃいます。
名古屋総合法律事務所は、交通事故の中でも被害者専門の事務所で、被害者・その家族の利益を守るために熱意と行動力のある弁護士がおります。交通事故で被害者専門という分野に特化することで、高度な法律知識や経験のもと、依頼者に高い法的サービスを迅速に提供することができます。
7. おわりに
交通事故に遭われた場合、入院や治療、仕事への影響、保険会社や加害者とのやり取り等に追われ、目まぐるしく時間が流れます。
深く考えて事故を解決することは、被害者やその家族が行うには大変です。そのような状況の中では、弁護士に依頼する余裕はないと考えるかもしれません。しかし、それによって満足できる解決につながることは難しいです。
満足できる解決をするためにも、弁護士法人名古屋総合法律事務所の交通事故専門チームに早期にご相談ください。被害者の皆様に最良の解決をもたらすため、全力でサポート致します。