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示談とは

◆そもそも示談とは何か?

自動車事故と示談

示談とは、交通事故による損害の賠償について、訴訟を提起することなく、当事者間の交渉を通じて、一定の金銭の支払により和解を成立させて、解決することです。

示談においては、通常、加害者(保険会社)による一定の金銭の支払と同時に被害者の和解金を超える金額の請求権の放棄により、紛争の終局的解決を図ることになるため、被害者は、原則として、加害者(保険会社)に対して、追加の賠償金を請求することはできなくなります。

◆示談成立までの流れ

交通事故の発生後、直ちに示談交渉を始めることはできません。なぜなら、治療の終了または後遺障害等級認定の結果の確定等により、交通事故によって生じた損害が確定しなければ、賠償額を確定できないからです。

示談交渉は、治療終了あるいは後遺障害等級認定手続終了のときから始めることになります。但し、治療終了後、後遺障害等級認定手続終了前に傷害による損害部分について先行して示談交渉することは可能です。
この場合、「後遺障害等級の認定を受けたときには、別途協議する」として、後遺障害による損害について解決を留保する必要があります。

◆示談交渉と時効

交通事故による損害の賠償請求権は、傷害による損害については事故日より3年、後遺障害による損害については症状固定日より3年の経過により時効消滅します(ひき逃げ等により加害者の氏名・住所等が不明の場合は除く)。
したがって、交通事故の被害者としては、事故後、賠償の問題を長期間放置してしまえば、時効により、もはや賠償金の請求をすることができなくなってしまう場合があるので注意を要します。

もっとも、時効には中断の制度があり、加害者(保険会社)の賠償義務の承認により時効期間の経過は一旦リセットされます。そこで、万が一、時効期間を経過してしまう可能性がある場合には、加害者から賠償義務を認める旨の念書を取得したり、相手方自賠責保険会社に対して時効中断承認申請書を提出したりするなどの対応が必要となります。

なお、仮に相手方が賠償義務の承認をしてくれないような場合には、訴訟において損害賠償請求することでも時効を中断させることができます。時効期間経過までに訴訟提起が間に合わない場合でも、時効期間経過前に内容証明郵便による催告書を送付した上、6ヶ月以内に訴訟提起すれば同様に時効を中断させることができます。

◆示談金

示談金とは、交通事故による損害賠償について当事者間の交渉により合意された和解金のことです。

示談金は、あくまで当事者の合意に基づき、賠償の問題について解決するための金銭であり、適正な賠償金とは必ずしも一致しません。一旦和解に基づく示談金の支払のなされた後に示談金を超える額の賠償金を新たに請求することは、原則としてできません。

◆被害者本人による示談交渉の難しい場合

交通事故の賠償金について被害者本人が相手方保険会社と直接交渉することは可能です。
しかし、保険会社は交通事故の損害賠償に関する専門集団であり、被害者本人だけでの交渉では、専門的知識及び経験の不足あるいは時間的コストの問題から、なかなか思うように進まないことが少なくありません。

そのようなときには、交渉の代理人を立てることを検討しましょう。被害者側にも過失がある場合には、被害者加入の保険会社に保険金支払の可能性があるため被害者加入の保険会社に交渉の代理を依頼することができます。

また、被害者の過失の有無に関わらず、弁護士を代理人として示談交渉を依頼することもできます。もっとも、この場合には、弁護士費用が発生しますので、依頼を検討する際には、弁護士費用の負担について考慮する必要があります。被害者自身の保険に弁護士費用特約が付帯している場合には弁護士費用の一部を保険会社が負担してくれますから、弁護士費用特約の付帯の有無は必ず確認しておきましょう。

akusyu