非該当から等級認定を獲得するには
前述のように、後遺障害の等級認定においては、後遺障害診断書が大きな役割を果たします。
先に挙げたポイントをはずした診断書は、非該当になってしまうことがあります。
したがって、非該当から等級認定を獲得するためには、先に挙げたポイントを意識した後遺障害診断書を改めて取得することが大切になってきます。
その中でも特に重要な点は以下のとおりです。
①精度の高いMRI を撮影する
後遺障害診断書の記載の中でも重要である他覚的所見について十分に記載されていない場合は、非該当となることが多いです。
したがって、MRI 画像をとってもらっていない場合は、MRI 画像をとります。他覚的所見が得られれば、等級認定を獲得できる可能性があります。
また、すでにMRI 画像をとってもらっていたとしても、より精度の高いMRI で撮影してもらいます。
精度の低いMRI では捉えられなかった病変が見つかり、等級認定につながる場合があります。
なお、日本脊髄脊椎ドック協会では、1.5T (テスラ) 以上のMRI
での撮影を推奨しています。
②神経学的検査
神経学的検査の結果も等級認定において重要です。
しかし、神経学的検査は被検査者のそのときの調子や検査者の技量によって、結果に大きな差が出ることがあります。したがって、非該当になってしまっても、再度適切な方法により、十分な神経学的検査を実施してもらいましょう。異常が見つかり、等級認定につながる可能性があります。
むちうち
実務上よく問題となるのが、むちうちで後遺障害14級を獲得できるかどうかです。
むちうちでは、痛みはあるが、骨折がありません。MRI 画像やX 線写真などで痛みを医学的に証明できていないという事で、非該当となる方が多くいらっしゃいます。
しかし、むちうちの場合でも、
- ・物損資料を精査すると衝撃が強いことを推定できる場合
(例: 加害車両が大きく損傷している場合) - ・後遺障害診断書上、適切なテストにおいて陽性所見がある場合
- ・既に通院が5か月以上続いている場合
など、後遺障害14級の獲得ができたケースがあります。
他覚所見を医学的に説明できずとも、説明は十分に可能といえます。