
逸失利益 ~ライプニッツ方式~
逸失利益とは、死亡事故では、被害者がもし生きていたとしたら得られたであろう利益をいい、後遺障害を負った事故では、後遺障害がなかったら得られたであろう利益のことです。
逸失利益は、将来どれくらいの収入を得られたかという未確定の損害を算定するものですから、裁判所は推計計算をしてその損害を算定しています。
逸失利益の計算式を簡単に説明すると、以下の通りです。
逸失利益の計算要素
基礎収入
基礎収入については、以下のように考えられています。
① 有職者
実際に労働することにより得ている年収となります。したがって、地代・家賃・配当などの不労所得は含まれません。
② 18歳未満の未就労者
賃金センサスによる平均年収の値となるのが一般的です。
生活費控除
生活費控除率とは、被害者の方がもし生きていたのであれば、生活費として消費した費用のことをいいます。死亡事故の場合には、生活費はかからなくなったわけですから、その分は、控除することになります。生活費控除率は以下のように考えられています。
① 一家の支柱
被扶養者1人の場合………………30%~40%
被扶養者2人以上の場合………………30%
② 女子(主婦・独身・幼児を含む)………………30%~40%
③ 男子(独身・幼児を含む)………………50%
労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、後遺障害によって、失われる労働能力の割合のことで、重い後遺障害である1級であれば、100%失われるとされますし、逆に12級であれば、14%とされています。詳しくは以下の表のとおりです。
就労可能年数(労働能力喪失期間)による対応するライプニッツ係数
一般的に67歳になるまで、就労可能であると判断されております。したがって、死亡または障害を受けてから67歳に達するまでが就労可能年数(労働能力喪失期間)とされています。
ただし、後遺障害を負った結果、就労可能期間が減る場合もありますので、詳しくは弁護士にご相談いただければと思います。
ライプニッツ係数とは、将来受け取るはずの金銭を前倒しで受け取るために得られた利益(中間利息)を控除するために使う指数です。かつては、ホフマン方式を使用していた時もありましたが、ほとんどの裁判所では、ライプニッツ係数を使用するのが一般的です。詳しくは以下の表のとおりとなります。
(1)18歳以上の方に適用する表
(2)18歳未満の方に適用する表