過失相殺基準
過失相殺の過失とは、被害者にも過失があるときに、その過失責任の割合に応じて損害額を減額することをいいます。
過失相殺でいう過失には、自らの安全を守るための不注意も含まれると考えられています。
最高裁は、「民法722条の2項の過失相殺の問題は、不法行為者に対し、積極的に損害賠償責任を負わせる問題とは趣旨を異にし、不法行為者が責任を負うべき損害賠償の額を定めるにつき公平の見地から損害発生について被害者の不注意をいかにしんしゃくするかの問題にすぎない」としています。
したがって、例えば、歩行者が車道の横断に際し考え事をしていて車両の有無を確認することなく横断を開始し事故にあった場合、歩行者は横断歩道のように絶対的優先権を主張し得ず、その不注意を理由に過失相殺されます。
また、この過失は、被害者本人だけでなく被害者と身分上ないし生活関係上一体をなす者の過失いわゆる被害者側の過失を含むと考えられており、例えば被害者が幼い子であった場合にはその親の過失を考慮する場合もあります。
実務で使用される過失相殺基準とは?
過失相殺は、最終的には個々の事案ごとに裁判所が判断するわけですが、現在の実務では、別冊判例タイムズ16号の過失相殺表を使って交渉するのが一般的です。
ただし、過失相殺基準には、全ての類型が載っているわけではありません。
また、的確な過失相殺率の判断には、この基準のどの類型を適用するのか、どのような考慮の元に修正要素が規定されているかなどの専門知識が必要ですから、弁護士にご相談いただければと思います。