事故発生から解決までの流れ
※こちらの記事は2024年5月までの情報を元に作成しています。執筆時点以降の事情変更により記事の内容が正確でなくなる可能性がございます。
引用しているウェブサイトについても同様にご注意ください。
交通事故の発生から、解決までの流れを簡単に説明すると以下のような流れになります。
- 事故発生
- 通院・治療
- 完治(もしくは症状固定)
- 後遺障害等級認定(症状固定時点で痛みがある場合)
- 示談
- ADR・調停
- 訴訟
- 解決
①事故発生
警察と保険会社への連絡を行い、事故状況の整理・記録を行いましょう。
怪我をした場合には警察に人身事故として届け出る必要があります。
物損事故として届け出をしてしまうと、示談交渉の際に事故の発生状況で主張が対立した場合に不利になってしまう可能性もあります。
人身事故として届け出れば、警察は現場や事故状況についてきちんと実況見分を行い、その結果を実況見分調書として自分の言い分を証拠に残してもらうことができます。
この実況見分調書は、後の示談交渉や裁判時に過失割合等に関する客観的かつ重要な証拠となります。
また、事故状況の整理・記録を行っておくとよいでしょう。
- 相手を確認(免許証や車検証を提示してもらうのがよい)
- 相手の住所・氏名・連絡先・生年月日
- 相手車両の登録番号(ナンバー)
- 相手が加入している自賠責・任意保険の会社名と証明書番号
- 相手の勤務先と雇用主の住所と名称
- 目撃者の確保
- 氏名・連絡先を確認
- 後日、目撃者として協力いただくようお願いする
- 事故直後の記録をとる
- ドライブレコーダーの映像データを保存する
- 携帯電話のカメラ等で、事故直後の車両や怪我の状況、現場を記録する
- 見取り図を作成し、記憶に基づいて車両の動きを順を追って記述する
②通院・治療
完治あるいは症状固定と医師が判断するまで必要な治療を行います。
治療費の支払いは、原則として加害者の加入する保険会社が行います(これを一括対応といいます)。
接骨院・整骨院での施術費用は医師による指示がなければ損害として認められない可能性があるため注意が必要です。
なお、交通事故によるけがの治療でも健康保険を利用できます。
但し、その際には必ず「第三者行為による傷病届」という書面を全国健康保険協会へ提出しなければなりません。
詳細は全国健康保険協会のサイトをご確認ください。
また業務中の事故であれば、労災保険を利用することもできますので、初回から窓口で労災であることを伝えて受診してください。その後、勤務先の担当者に労災申請をするように打診しましょう。
③完治(もしくは症状固定)
症状固定とは、これ以上治療を継続しても治療効果が見込めないと医師が判断した状態をいいます。
保険会社の中には、一定時間が経過したからといって治療の終了を促し治療費の打ち切りを一方的に打診してくる場合もあります。
本来、治療の終了時期については保険会社が決めるものではありません。しかし、保険会社による治療費支払はあくまでも任意のものなので、支払いの継続を求める場合には、担当医と相談するなりして保険会社の担当者に治療継続の必要性を訴えていく必要があります。
症状固定の時点で痛みが残っている場合には、後遺障害申請を行うために医師へ「後遺障害診断書」の発行を依頼しましょう。
これは後遺障害の等級認定に必要となる書類で、自覚症状、後遺障害の画像所見や各種検査結果が記載されるため後遺障害の認定において重要なものです。
④後遺障害等級認定(症状固定時点で痛みがある場合)
症状固定時において残存する症状があれば、後遺障害として認定を受けられる可能性があります。
後遺障害の認定手続きには、被害者請求と事前認定の2つの方法があります。被害者請求は被害者本人による申請手続きであり、事前認定は相手方の保険会社による申請手続きです。
一般的には被害者請求の方が有利な証拠を提出でき後遺障害認定がされやすい傾向にあるため、弁護士へ依頼する等して被害者請求での後遺障害申請を行うことが重要です。
⑤示談
示談交渉では、交通事故による治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益などの人損の賠償額について、保険会社と協議することになります。
相手側の保険会社は、自社の基準に沿って賠償額を提案してきますが、裁判を起こした場合の基準よりも低額であることがほとんどです。
一度示談に同意してしまうと原則的にやり直すことができないため、安易に同意せず適切な賠償額であるか弁護士に相談することをおすすめします。
当初の賠償金から約3倍~4倍増額できた事例
Aさんと妻のBさんは旅行中、後続車から追突され、相手側保険会社から賠償金の提示がありましたが、適切な金額か判断できなかったためご相談にいらっしゃいました。
相手側保険会社から提示された示談金は「当社算定基準」としか記載がなく、実際裁判基準と照らし合わせると低額であることが分かりました。
担当弁護士が裁判基準から算出した金額を提示して交渉を行ったところ、最終的にAさんは約4倍、Bさんは約3倍まで賠償金を増額させることができました。また、受任から2か月という短い期間で和解が成立しました。
⑥ADR・調停
あまり多くはありませんが、示談交渉により解決が図れない場合にはADR手続や調停(民事調停)を行うことがあります。
示談交渉により、解決が図れない場合にはADR手続や調停(民事調停)を行います。
ADR手続とは、裁判外紛争解決手続と呼ばれるもので示談の交渉を中立的な立場で支援してくれる機関です。
⑦訴訟
裁判外交渉で示談ができない場合には、最終的には訴訟(裁判)による解決となります。
訴訟では当事者間で争いになっている事項について主張立証を行い、最終的には裁判所による判断(判決)が出されます。
訴訟のメリット・デメリット
- 裁判基準で算定されるため、賠償金が高額になり得る
- 相手方が同意していなくても争いの解決を図れる
- 決定した内容に強制力があり、相手が対応しない場合には差し押さえ等の対応がなされる
- 弁護士費用の一部・遅延損害金を相手方に請求できる
- 費用と時間が掛かる(※)
- 自身で対応するのが難しく、弁護士に依頼する必要性が高い
- 尋問手続きまでいけば裁判所での証言が必要になる
- 立証ができずに裁判所に認定されない項目がある場合には、裁判外交渉において提示されていた金額よりも低額の賠償金になってしまう可能性がある
(※)もし、任意保険に弁護士費用等補償特約(弁護士特約)がついている場合には、弁護士費用は保険会社へと請求されるため、弁護士特約の範囲内であれば費用の心配をする必要はありません(保険会社の条件によっては本人負担が発生する場合があります)。
示談での同意が得られず、今後どのように進めていけばいいか悩んでしまった場合には、まず弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士が介入することで滞っていた示談をスムーズに進められる可能性もありますし、示談で同意が得られなかったとしても、その後どのような手段で進めたらいいか、依頼人の利益を最大限実現するための対応を教えてくれます。
⑧解決
同意した内容で書類が作成され、賠償金が支払われます。
当事務所にご依頼いただいた場合には、原則として以下の流れでお客様の手元に賠償金が支払われます。
1.示談成立後に、加害者の保険会社から弊所の預り金口座に賠償金の支払い
2.振り込まれた賠償金から弁護士費用等を差し引いた金額をご依頼者様の口座にお振込み
3.ご依頼者様からお預かりしていた資料等を返送
4.解決
※示談の成立から賠償金の支払いまでには約1か月程度のお時間をいただきます。
まずはお気軽にご相談ください
「大事にはしたくない」、「どの段階で相談すればよいか分からない」といった声を聞くことがありますが、交通事故に遭ってしまったらできるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。
名古屋総合法律事務所では交通事故を専門的に取り扱う弁護士が、ご依頼者様に寄り添い適切なアドバイスをさせていただきます。
まずは、弁護士特約がある場合はもちろん、ない場合にも無理な契約とならないよう、初回相談の段階で担当弁護士から料金に関してしっかりとご説明させていただきます。
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