後遺障害の部位別認定ポイント
誰が後遺障害の「等級」を認定するの?
後遺障害の等級認定は、症状が固定してから、「損害保険料率算定機構自賠責損害保険調査事務所」(通称、自賠責調査事務所といいます)が行います。自賠責調査事務所は、被害者の方または保険会社からの申請をもとに等級を検討します。
等級はどう決まっているの?
後遺障害の等級は、一番重い後遺障害である「1級」から、「14級」まで細かく分けられており、それぞれの等級に認定されるための条件が定められています。
例え症状があったとしても、それらの要件にあてはまると証明しなければ後遺障害として認められないのです。
後遺障害申請の方法
被害者請求
被害者請求とは、直接被害者の側から自賠責保険調査事務所に対して、後遺障害の等級認定を申請する方法です。被害者が自ら請求するため、等級の認定に必要な立証資料を準備することができます。
事前認定
事前認定とは、加害者の保険会社が後遺障害の申請を行うことです。
保険会社が手続きをすべてやってくれますが、保険会社は、等級を獲得するために、必要な立証資料の不備を指摘したり、進んで用意したりはしません。
部位別に認定のポイントを確認してみましょう
後遺障害の等級認定では、何より後遺障害診断書が重要となります。
被害者であるあなたご自身の症状に合致した、適切な後遺障害診断書を医師に作成してもらえるよう、診断書作成前から、交通事故の経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
さらに、等級認定や異議申立では、医学文献や裁判例に精通しているかが重要となります。カルテやレントゲン・CTなどの画像所見を分析し、提出をすることが有効であるケースも少なくありません。地元である愛知・名古屋で30年あまり事件解決に取り組んで参りました名古屋総合法律事務所にお任せください。適正な等級認定が得られるよう全力でサポートいたします。
背中
交通事故による体幹の傷害としては、鎖骨、肋骨、脊椎の骨折が大きな問題となります。
骨折が治った際にも、変形が残り、機能面よりも醜状の問題が残る場合が少なくありません。
また、脊椎の骨折においては、椎体の変形だけでなく運動障害も問題となりますが、診断書に可動域の制限ありとの記載があっても、等級認定で認められないことがあります。そのため、後遺障害診断書作成の段階から、早期に後遺障害等級認定に詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。
脊柱・その他体幹の後遺障害等級
脊柱の運動障害 | |
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6級5号 | 脊柱に著しい奇形又は運動障害を残すもの |
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの |
脊柱の変形障害 | |
6級5号 | 脊柱に著しい奇形または運動障害を残すもの |
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの |
11級7号 | 脊柱に変形を残すもの |
その他 | |
12級5号 | 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの |
臓器
交通事故によって、肝臓、膵臓、腎臓などの臓器が損傷を受けることがしばしばあります。
胸腹部臓器の障害は、障害認定基準上は、臓器ごとに基準が分けられ、①呼吸器、②循環器、③腹部臓器、④泌尿器、⑤生殖器に区別されています。
事故の衝撃が比較的大きくない場合であっても、障害を負い辛い思いをされている方がいらっしゃいますが、事故との因果関係が否定される場合があります。
臓器は、他の部位の障害よりもより専門的な知識が必要とされる分野です。
臓器の後遺障害等級
臓器の後遺障害 | |
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1級2号 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
2級2号 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
3級4号 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
5級3号 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級5号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級13号 | 両方の睾丸を失ったもの |
8級11号 | 脾臓又は1側の腎臓を失ったもの |
9級11号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
9級16号 | 生殖器に著しい障害を残すもの |
11級10号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
腰
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
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14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
神経
交通事故による神経系統の疾患としては、脳が損傷したことによる高次脳機能障害や、脊髄損傷などによる神経の障害が問題となります。このような重度の後遺障害を負ってしまうと、被害者様ご本人だけでなく、介護されるご家族の負担は計り知れません。
そのため、重度の障害が残った場合には、適切な等級認定をうけ正しい賠償を受けることが欠かせませんが、重度の後遺障害を多く扱ったことのある弁護士は限られますので、経験豊富な弁護士に依頼するようにしましょう。
神経系統の機能または精神の後遺障害等級
神経系統の機能または精神の後遺障害 | |
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1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
2級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |