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胎児が亡くなった場合

Q 甲野花子は、妊娠中(妊娠2か月)、夫の運転する車の同乗し、交通事故に遭いました。この事故によって、花子は赤ちゃんを流産することになりました。この赤ちゃんが流産したことの損害はどのように請求することが出来るでしょうか。

胎児自身の慰謝料請求権

(1)総論

交通事故で胎児が死産した場合、胎児自身の慰謝料請求はできるでしょうか。

民法上、権利義務の帰属は出生によって始まるとされています(民法3条1項)。出生とは、母体から胎児の全身が出てきた時のことを言います。したがって、原則、胎児は、権利義務の帰属主体とはなりません。もっとも、損害賠償請求(民法721条)や相続(民法886条)の場面では、その後出生することを条件として、例外的に権利義務の帰属主体として認められています。

(2)事故当時胎児だったが、その後出生した場合

事故当時胎児であっても、その後出生すれば、人であり、胎児の時に受けた不法行為によって、人になった後に生じた損害については、加害者に対し、賠償を請求することが出来ます。実際、最高裁平成18年3月28日判決では、交通事故当時、胎児だった子供が、交通事故によって早産となり、出生後1級の後遺障害を負ったケースで、その子から、加害者に対する損害賠償請求権を認めました。

(3)胎児の時に受傷し、亡くなってしまった場合

交通事故を原因として、流産となった場合、民法3条1項から、胎児は権利義務の帰属主体とはなりません。したがって、胎児自身が加害者に対し損害賠償することはできません。しかし、それでは交通事故の妥当な解決を図ることはできないので、胎児の両親が固有の権利として、胎児が死亡したことに対する慰謝料を請求することが出来ます。

 

慰謝料の金額

胎児

交通事故により慰謝料の金額は、基準化されていますが、胎児が流産した場合の慰謝料の金額については基準化はまだされていません。

判例の傾向から、

  1. 経過した周産期、出産までどれだけ時間的に接近していたか
  2. 初産か
  3. その後妊娠出産をしたか
を慰謝料を金額にする際に考慮しているといえます。これは、事故がなければ無事に出産できたのかという蓋然性、つまり事故がなくても流産する可能性があったのかを考慮するためです。 したがって、出産が近ければ新生児に近い状況にあったとして高めの慰謝料額が認められることがあります。

また、慰謝料は精神的苦痛を金銭にするものなので、②③を考慮して、判断されます。 また、判例から妊娠30週未満の場合、150~300万円の間で認められる傾向にあることがわかります。そして、妊娠10か月では600~800万円が認められる傾向にあります。

実際、

  • 出産予定日4日前に胎児が死亡した場合に、母親に800万円の慰謝料を認めたもの(高松地裁平成4年9月17日判決)
  • 妊娠2か月で流産した場合に、150万円を認めたもの(大阪地裁平成8年5月31日判決)
  • 妊娠13週で胎児が死亡した場合に、350万円を認めたもの(大阪地裁平成13年9月21日判決)
  • 妊娠36週の胎児が死亡した場合に、母親に700万、父親に300万の慰謝料を認めたもの(東京地裁平成11年6月1日判決)があります。

 

父親の慰謝料請求権

では、胎児が死亡した場合に胎児の父親に慰謝料請求権を認めることはできるでしょうか。
裁判例は分かれています。

(1)否定

大阪地裁平成8年5月31日判決は、胎児が亡くなった場合の損害は、母親の慰謝料によって填補できるとして、父親に慰謝料を認める必要はないことを理由に、父親には慰謝料請求権はないと判断されました。

(2)肯定

これに対し、高松高裁昭和57年6月16日判決は、流産に伴う生理的病理的苦痛は父と母では異なるものの、胎児を失ったことの苦痛は、父と母を区別する理由は無いとして父親の慰謝料請求権を認めています。また、東京地裁平成11年6月1日判決も、死亡した胎児が新生児とほぼ同一の状態にあり、失った両親、特に母親の悲しみ、落胆は相当なものというべきとして、父親に慰謝料請求権を認めています。
ただし、父と母の慰謝料合計額を限度として、父と母の配分は1対2となります。

 

本件

本件で、花子は妊娠2か月のところ、交通事故によって胎児を流産していることから、大阪地裁平成8年5月31日判決のように、母親に150万円の慰謝料が認められる可能性があります。

 

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