等級認定に不満がある場合にとりうる手段は?
Q 等級認定に不満がある場合にとりうる手段は?
後遺障害の等級認定に不満がある場合、認定結果の変更を求めて、異議申立することができます。
異議申立の方法は、等級認定の手続により異なります。被害者請求の場合は、被害者が自賠責保険会社に対して異議申立書を提出します。保険会社の一括対応の場合は、相手方保険会社に対して異議申立書を提出します。
なお、当初は、保険会社の一括対応による事前認定をしていた場合でも、異議申立の段階から被害者請求に切り替えて申立を行うことは可能です。
もっとも、自賠責保険審査会は、当初の等級認定について判断を下した損害保険料算出機構の同一体制内部にある機関であるため、一般的には、異議申立により、当初の等級認定の判断が変更されることは難しいといえます。
必要なもの
異議申立により等級認定結果の変更をする場合、従前の申立で提出していなかった新たな医学的証拠等の資料を提出する必要があります。
したがって、当初の申立で提出していなかった新たな資料を提出できない場合には、異議の認められる可能性はまずありません。
新資料がない場合、異議申立することの意味は殆どないと思った方がよいでしょう。
請求の時効
異議申立には回数制限はありません。したがって、異議申立の結果に対して異議申立する自体は可能です(再異議申立)。
もっとも、後遺障害に関する自賠責保険の被害者請求は症状固定日の翌日から3年(平成22年3月31日以前の交通事故の場合には2年)の経過により時効となり請求することができなくなります。
また、加害者に対する後遺障害に関する損害賠償請求もまた、症状固定日の翌日から3年の経過により時効となり請求できなくなります。
等級認定に対する異議申立は加害者に対する損害賠償請求の時効を中断する効力を持たないため、異議申立の結果が出るまでに時間がかかる場合は、時効を中断する措置をとる必要があります。
なお、異議申立の審査は、通常2ヵ月以上はかかります。
その他の方策
後遺障害の等級認定に不服のある場合の対応として、異議申立のほか、自賠責保険・共済紛争処理機構に対する紛争処理の申請があります。
紛争処理機構とは、自賠責保険審査会と同様、弁護士、医師、学識経験者等により構成された機関です。
紛争処理機構は、当初の認定結果を判断した損害保険料算出機構とは独立した機関ですが、実際のところ、異議申立と大きな違いはありません。
なお、紛争処理機構に対する紛争処理の申請は1回のみという回数制限があります。
異議申立や紛争処理の申請とは別に、加害者を相手に、訴訟を提起するという方法があります。
これは裁判所に対して、あらゆる証拠を提出して、後遺障害の有無や後遺障害による損害について判断してもらう方法です。
裁判官は、他の機関による後遺障害の等級認定に関する判断には拘束されません。
また、訴訟では本人の供述など、判断の基礎となる資料は書面に限られません。
時間はかかりますが、等級認定に不満がある場合、訴訟という方法も視野に入れて検討すべきです。
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