「自転車損害賠償責任保険等」の加入義務 ~高まる保険加入の重要性について~
弁護士 秋吉 一秀
1 はじめに
2026年4月から自転車にも交通反則通告制度(いわゆる青切符)が導入されました。
同制度の導入背景の1つとして、自転車による交通事故の増加が挙げられています。
実際、弊所においても、自転車運転中の事故に関するご相談が増加しています。
また、交通事故の過失割合を検討する際に広く参照されている「別冊判例タイムズ39」においても、新たに「自転車同士の事故」という章が追加されており、自転車事故の増加は全国的な傾向であると考えられます。
自転車事故の場合、大きな怪我や後遺障害につながることが少なくありません。また、事故態様によっては、自転車利用者が相手方に対して高額な賠償責任を負う場合もあります。 そのような場合でも、自転車損害賠償責任保険等へ加入していれば、保険内容によっては賠償金の大部分又は全額が補償される可能性があります。
2 自転車損害賠償責任保険等とは
自転車損害賠償責任保険とは、自転車の利用によって他人の生命または身体が害された場合における損害賠償を保障することができる保険又は共済のことをいいます。
「自転車保険」と聞くと、自転車購入時に加入する専用保険をイメージされる方も多いかもしれません。 しかし、実際には自転車専用の保険だけでなく、火災保険や自動車保険の個人賠償責任特約、クレジットカードの付帯保険などによって補償される場合もあります。
また、近年では学校やPTAが団体保険として加入しているケースも見受けられます。
ご自身やご家族が既に加入している保険に個人賠償責任補償が付帯されている場合もありますので、一度契約内容を確認してみることをお勧めします。
3 愛知県内における自転車損害賠償責任保険等への加入義務
愛知県では、2021年3月26日に「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が公布され、同年10月1日から自転車損害賠償責任保険等への加入が義務化されました。
同条例第13条では、自転車利用者に対し、自転車損害賠償責任保険等への加入が求められています。加入しなかった場合の罰則は設けられていませんが、 自転車事故による高額賠償事例や近年の事故増加の状況を踏まえると、その重要性はますます高まっているといえるでしょう。
また、2026年6月現在、自転車損害賠償責任保険等への加入を条例で義務付けている自治体は34都道府県に及んでいます。
4 弁護士費用特約付き自転車損害賠償責任保険
自動車保険の弁護士費用特約は広く知られていますが、保険会社によっては、自転車保険にも弁護士費用特約を付帯できる場合があります。
弁護士費用特約を利用すれば、一定額までの法律相談料や弁護士費用を保険会社が負担してくれるため、ご自身の費用負担なく弁護士へ相談や依頼ができることがあります。
交通事故では、過失割合、治療費、休業損害、後遺障害、慰謝料などを巡って争いになることが少なくありません。自転車事故で被害者となった場合にも利用できるケースがありますので、 加入中の保険に弁護士費用特約が付いているか確認しておくことをお勧めします。
5 まとめ
愛知県では、自転車損害賠償責任保険等への加入が条例によって義務化されています。
また、自転車事故で加害者となった場合には、高額な損害賠償責任を負う可能性があります。保険に加入していなければ、その負担を自己負担しなければならない場合もあります。
さらに、自転車事故の被害者となった場合には、弁護士費用特約を利用することで、費用負担を抑えながら弁護士へ相談できる可能性があります。
自転車事故は決して他人事ではありません。この機会に、ご自身やご家族が加入している保険の内容を一度確認してみてはいかがでしょうか。
※弊所では、被害者側の方からの相談のみをお受けしております。事案によっては法律相談をお受けできない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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