あおり運転厳罰化(道路交通法改正)
1. はじめに
2020年6月2日、あおり運転に対する罰則を強化した改正道路交通法が衆議院本会議で可決されました。
これまで明確な定義がなかったあおり運転は、「妨害運転」と規定され、最高で5年以下の懲役が科せられることになります。
以下、あおり運転に関する道路交通法の主な改正点について、ご紹介していきます。
2. 取り締まりの対象となる運転行為
取り締まりの対象となる運転行為は、次の10類型である。
- ① 通行区分違反(Ex 逆走)
- ② 急ブレーキ禁止違反(Ex 急ブレーキをかける)
- ③ 車間距離不保持(Ex 車間距離を詰める)
- ④ 道路変更禁止違反(Ex 急な進路変更)
- ⑤ 追い越し違反(Ex 乱暴な追い越し)
- ⑥ 減光等義務違反(Ex ハイビーム威嚇の継続)
- ⑦ 警音器使用制限違反(Ex 不必要なクラクション)
- ⑧ 安全運転義務違反(Ex 幅寄せ、蛇行運転)
- ⑨ 最低速度違反(高速自動車国道)
- ⑩ 高速自動車国道等駐停車違反
⑴ あおり運転をした場合
他の車両等の通行を妨害する目的で、上記10類型に違反するような運転は「妨害運転」となり、刑事処分として、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」、行政処分として「免許取消し(欠格期間2年)」が科せられることになりました。
⑵ あおり運転が原因で危険が生じた場合
⑴の罪を犯し、よって高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた場合には、刑事処分として、「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」、行政処分として「免許取消し(欠格期間3年)」が科せられることになりました。
3. 道路交通法改正を受けて
今回の道路交通法改正を受け、警察においても、交通指導の取締りが一層強化されるものと思われます。
自動車は便利な移動手段である反面、事故を起こせば人の命をも奪いかねない危険なものです。
自動車に乗る際には、譲り合いの精神を忘れずに、心にゆとりのもった運転を心掛けていただけると幸いです。
-
最新の記事
- 積載物の損害の請求と立証について
- 本人が亡くなった後の後遺障害認定請求
- 下肢の偽関節による後遺障害
- 神経系統の障害に関する後遺障害等級12級と14級の違いについて
- ペダル付原動機付自転車「モペット」について
- 駐車場内の交通事故の過失割合
- ドライブレコーダー映像の保存方法及びその重要性について
- 代車の注意点
- 交通事故の後遺障害と障害年金
- 交通事故と成年後見の必要性
- お問合せでよくある質問について②
- 任意保険に入っていないということ
- 自動運転と交通事故の責任
- お問合せでよくある質問について
- 交通事故の相談にあたり持ってきていただきたい資料について
- 労災給付と自賠責保険は両方使えるのか
- 将来の介護費用は?後遺障害認定3級以下の実例と請求について解説
- 交通事故調査のデジタル化
- あおり運転厳罰化(道路交通法改正)
- 示談交渉の重要性
-
月別
- 2024年8月 (1)
- 2024年4月 (1)
- 2024年3月 (1)
- 2024年2月 (2)
- 2023年10月 (1)
- 2023年7月 (1)
- 2023年3月 (1)
- 2023年2月 (1)
- 2022年7月 (1)
- 2022年2月 (1)
- 2021年10月 (2)
- 2021年9月 (2)
- 2021年4月 (1)
- 2021年3月 (1)
- 2020年10月 (1)
- 2020年8月 (1)
- 2020年4月 (2)
- 2020年3月 (3)
- 2019年12月 (1)
- 2019年9月 (1)
- 2019年8月 (1)
- 2019年7月 (1)
- 2019年3月 (1)
- 2018年10月 (2)
- 2018年1月 (1)
- 2017年4月 (1)
- 2017年2月 (1)
- 2017年1月 (1)
- 2016年12月 (1)
- 2016年11月 (1)
- 2016年8月 (1)
- 2016年5月 (1)
- 2016年1月 (1)
- 2015年8月 (1)
- 2015年7月 (1)
- 2015年5月 (1)