「逸失利益」とは
1,逸失利益とは
交通事故における 逸失利益とは,交通事故がなければ得られたにもかかわらず得られなくなってしまった利益 のことをいいます。
ある程度客観的な指標から金額が算定できるという点で,慰謝料とは異なります。また,逸失利益は慰謝料とは別途請求することができます。
例えば,事故でAさんが死亡したとします。Aさんが今後生きていれば得られたはずの給料,年金等を合算し,そこからAさんが今後必要であっただろう生活費等を差し引いた金額が逸失利益となります。
また,死亡した場合だけではなく,事故により後遺症が生じた場合にも,逸失利益を請求することができます。
この場合,本人が今後働いていく上で,どれだけの労働能力を失ったのかを等級によって分類し,考慮します。
死亡による逸失利益とは異なり,本人は今後も生活していくのですから,生活費は差し引きません。
2,逸失利益の算定方法
逸失利益は将来生み出されるであろう不確定な利益を計算するものです。
そのため,事故時点における本人の年齢,性別,職業,学歴などを考慮し,長期間分の賠償金を前倒しで受ける際に控除するための係数(「ライプニッツ係数」と呼ばれます。)を用いて,できる限り客観的な事情から算出することとなります。
(年収)×0.79×20年
ではなく,
(年収)×0.79×【20年に相当するライプニッツ係数:12.4622】
により算出される値が,逸失利益となります。 金額が本来の値よりも低くなるのは,前倒しで受け取る金銭は20年後に受け取る金銭よりも価値が高いと判断されるためです。
3,弁護士が関与する意味
もっとも,金額がすべて自動的に決まるわけではありません。
後遺症が5級と認定された人でも,実際には100%働けなくなったという場合も少ないかと思います。 その点で,弁護士が関与する意味があります。
交通事故の事件処理にノウハウのある弁護士がつくことにより,主張の仕方,及び,証拠収集の可否や方法を工夫し,依頼者にとってできる限り有利な金額を引き出せるよう検討することが可能となるのです。
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