名古屋市の交通事故,後遺障害に強い弁護士の無料相談

名古屋の弁護士による 交通事故相談 相談料・着手金0円 賠償金増額のプロフェッショナル集団 名古屋総合リーガルグループ

名古屋・丸の内本部事務所

地下鉄 鶴舞線・桜通線
丸の内駅4番出口徒歩2分

金山駅前事務所

金山駅
南口 正面すぐ

一宮駅前事務所

名鉄一宮駅・尾張一宮駅
徒歩5分

岡崎事務所

JR岡崎駅
徒歩5分

死亡事故における請求項目について

弁護士 田村 淳

blog-4936_02

1. 請求一覧

費目 内容
積極損害 ① 治療費 原則として実費
② 入院雑費 一日あたり1,400円~1,600円
③ 付添看護費 近親者付添人の場合は入院付添1日あたり5,500円~7,000円
葬儀関係費 130万円~170万円
消極損害 ⑤ 休業損害 休業期間中の合計額
逸失利益 ㈠ 算定式
基礎収入×(1-生活費控除率)
×就労可能年数に対応する中間利息控除係数
㈡ 18歳未満の場合
基礎収入×(1-生活費控除率)
×(67歳までの中間利息控除係数-18歳に達するまでの中間利息控除係数)
㈢ 年金受給者
年金収入×(1-生活費控除率)
×平均余命に対応する中間利息控除係数
慰謝料 ⑦ 入院慰謝料 入・通院の慰謝料表によって算定
死亡慰謝料 ㈠ 一家の支柱の場合 
2,700万円~3,100万円
㈡ 一家の支柱に準ずる場合
2,400万円~2,700万円
㈢ その他(独身の男女、子ども、幼児等)の場合
2,000万円~2,500万円
物損 自動車の修理費等

2. 事故後、集中治療(入院)を経て死亡した場合

事故により、入院を経て死亡にいたる場合、入院期間中の種々の項目について請求することができます。

上記一覧表のうち①治療費、②入院雑費、③付添看護費、⑤休業損害、⑦入院慰謝料については、通常の受傷の場合と同様の議論が当てはまることから、受傷の場合の請求項目を別途ご参照いただければと思います。

3. 入院を経ないで死亡した場合(死亡の場合固有の問題

上記の一覧表のうち、死亡事故の場合における固有の大きな問題は、④葬儀費用、⑥逸失利益、⑧死亡慰謝料です。

⑴ ④ 葬儀関係費について

葬儀関係費については、社会通念上不相当なものでない限りは認められるのが通常です。

葬儀関係費には、葬儀費用の他に供養料、墓碑建立費、仏壇購入費等も含まれると考えられますが、裁判所の基準では130万円から170万円程度で認めることが通常です。

実際の支出額がこれらの金額に満たない場合には実費が損害として認められることになります。なお、実費の算出にあたっては、香典費用を差し引く必要はありません。

⑵ ⑥ 逸失利益について

㈠ 計算式

逸失利益とは、事故がなければ得られたであろう利益の損害をいいます。

基本的な計算式は、
 基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応する中間利息控除係数
となります。

本人死亡により、生活費がかからなくなることから、収入のうち本人の生活費に占める割合分を控除することになります。これが、生活費控除率です。

生活費控除率は、概ね30%から50%程度が通常あり、一家の支柱なのか、被扶養者が何人なのか、単身なのか、等により異なります。

また、逸失利益については、将来的に受領するはずの金銭を交渉時に受領することになるため、中間利息分が控除されます。

㈡ 18際未満の未就学者の場合

就労の始期は、通常18歳であり、終期は67歳とされます。

被害者が18歳未満の場合、67歳までの就労可能年数を前提に逸失利 益を算出することになりますが、18歳に至るまでの期間は就労の蓋然性がないことから差し引くことになります。

したがって、この場合の計算式は、
 基礎収入×(1-生活費控除率)×(67歳までの中間利息控除係数-18歳に達するまでの中間利息控除係数)
となります。

㈢ 年金受給者の場合

国民年金(老齢基礎年金や障害基礎年金)や厚生年金(老齢厚生年金、障害厚生年金)を受給していた場合にも、逸失利益の対象になります。

ただし、年金の場合には生活費の占める割合が大きいことが通常であるため、生活費控除率が通常より高くなる(50%より高くなる)こともあります。

年金の逸失利益の計算式は、
 年金収入×(1-生活費控除率)×平均余命に対応する中間利息控除係数
となります。

なお、被害者が就労者であり、将来的な年金の受給が見込まれる場合もあります。この場合には、受給資格がある場合には想定金額を前提に逸失利益が認められる、受給資格がない場合には、受給の蓋然性が高い場合に逸失利益が認められます。

⑶ ⑧ 死亡慰謝料について

死亡慰謝料については、概ね、以下のように定額化されています。

㈠ 一家の支柱の場合 
2,700万円~3,100万円

㈡ 一家の支柱に準ずる場合
2,400万円~2,700万円

㈢ その他(独身の男女、子ども、幼児等)の場合
2,000万円~2,500万円

これらの慰謝料には、被害者本人の慰謝料の他、近親者慰謝料も入っています。

個別事情も考慮に入れ、概ね総額としてこれらの金額の範囲で認められているものが多いです。

⑷ まとめ

被害者死亡の場合の主要な請求項目は上記のとおりです。

図式化すると以下のようになります。

blog-4936

このうち、逸失利益の点は事案によって判断が難しいケ-スが多くあります。

働き盛りの方の場合では、死亡逸失利益の算出がメインと思われますが、年金の受給の蓋然性があれば請求できる可能性があります。

年金受給者の場合、年金の逸失利益性が問題となりますが、自宅で家事をしていた場合には、家事労働分の死亡逸失利益の問題も生じてきます。

4. 以上の他にも争いになる論点は多岐にわたります。

保険会社の方から金額の提示がなされた、あるいは、これから請求をする場合には、一度請求内容を精査する必要があるでしょう。

死亡事故の場合には、金額も高額となることから、安易に保険会社からの提案に応じないように注意が必要です。