刑事事件参加
はじめに
平成20年12月1日から、犯罪の被害者が刑事裁判に参加する制度が始まりました。
従前の刑事裁判では、検察官、裁判官、被告人、弁護人だけで行われ、被害者の声が十分に反映されないといった批判が絶えませんでした。
そこで、被害者の声を反映させるために始まったのが被害者参加制度です。もちろん、この制度を利用することは被害者の権利であって義務ではありません。参加することも参加しないことも被害者が自由に選べます。
交通事故における被害者も次の犯罪被害者についても、同制度を利用する対象となりえます。以下、詳細に見てみましょう。
対象犯罪(刑事訴訟法316条の33第1項)
- ・危険運転致死傷罪
- ・自動車運転過失致死傷罪
- ・業務上過失致死傷罪
参加できる者(刑事訴訟法316条の33第1項、290条の2第1項)
- ・対象犯罪の被害者等(被害または被害者が死亡した場合もしくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族もしくは兄弟姉妹)
- ・当該被害者の法定代理人
- ・これらの者から委託を受けた弁護士
参加のための手続き
被害者等が、起訴後から手続き終結までの間に、検察官に対し参加の申し出をし、検察官が意見を付して裁判所に被害者等による参加の申し出があることを通知し、通知を受けた裁判所が、被告人または弁護人の意見を聞いたうえで、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、相当であると認めるときに決定により参加を許可する(刑事訴訟法316条の33)
被害者参加制度を利用した場合に、被害者等ができること
- ・公判期日における在廷(刑事訴訟法316条の34第1項)
傍聴席ではなく、検察官の近くに座って裁判に参加することができます。
- ・検察官への意見(刑事訴訟法316条の35)
検察官に対して、説明を求めたり、被害者の要望を伝えることができます。
- ・情状に関する事項についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項についての証人尋問(刑事訴訟法316条の36第1項)
情状証人に今後の監督等について質問することができます。
- ・被告人質問(刑事訴訟法316条の37第1項)
被告人に対して、一般情状(反省等)だけでなく、被害者が法廷で意見を述べるうえで確認が必要な内容についても質問することができます。
- ・弁論としての意見陳述(刑事訴訟法316条の38)
検察官の論告求刑の後に、被害者自ら、一般情状だけでなく、犯罪事実や法律の適用、量刑について意見を陳述することができます。
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弁護士への委託
犯罪白書平成27年(http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/images/full/h5-2-1-03.jpg)によると、平成21年から平成25年まで、犯罪被害者参加制度の利用数は年々増えており、弁護士への委託件数も年々増えています。平成26年には、弁護士への委託が、犯罪被害者参加制度利用数1227件のうち、951件(約77.5%)と同制度が始まって以来の件数となっています。
被害者の感情を刑事裁判に反映させたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、一度弁護士に相談されてはいかがでしょうか。