損益相殺について | 名古屋市の交通事故,後遺障害に強い弁護士の無料相談 | 愛知県

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損益相殺について

弁護士 田村 淳

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1. 損益相殺とは

損益相殺とは、損害賠償の原因となった事故と同一の原因によって利益を受けた場合に、当該利益を損害賠償額から差し引くことをいいます。

これは、簡単に言えば二重取りを防止するためのものです。

給付の性質や代位規定、調整規定の有無等から、損益相殺(又は損益相殺的な調整)の有無や損益相殺の範囲等が決められています。

損益相殺を巡っては、①損益相殺該当性の問題、 ②費目限定の問題(客観的範囲)、③支給前の給付の控除の可否(時的範囲)、④控除される主体の範囲(人的範囲)、⑤過失相殺との控除の順序等に分けて議論がなされることがありますが、今回は、①損益相殺該当性の問題及び②②費目限定の問題についてご説明いたします。

2. 損益相殺とは

損益相殺該当性と範囲について一覧表で示すと、以下のとおりになります。

給付金 該当性 理由 費目限定等
自賠責保険 自賠法16条による損害賠償額 人身損害のみ。費目限定はない
社会保険給付 労働者災害補償保険(労災保険) 通常の給付
費目限定あり
代位規定あり(労災12条の4) 人身損害のみ
給付の性質により費目限定あり
① 療養給付→治療費
※ 療養給付が入院雑費、通院交通費、付添看護等の積極損害を填補するかは争いあり。
② 休業給付、障害給付、傷病給付
→休業損害および逸失利益
③ 遺族給付
→死亡逸失利益
④ 葬祭給付
→葬儀関係費
⑤ 介護給付
→介護費
社会復帰促進等事業による給付(特別支給金) × ・労働福祉事業の一環として行われる
・代位規定がない
公的年金制度(国民年金、厚生年金)
費目限定あり
代位規定あり(国年22、厚年40) 遺族年金については財産的損害のうち逸失利益のみ
健保、国保等公的医療保険制度による給付
費目限定あり
代位規定あり(健保57、国保64) 療養給付→治療費
傷病手当金→休業損害
介護保険給付
費目限定あり
代位規定あり(介護保険21) 将来介護費用、付添費
生活保護法による扶助費 法改正後は〇 代位規定あり(生保76の2)
身体障害者福祉法による給付 × 社会福祉事業の一環として行われる
代位規定がない
自動車任意保険 責任保険 対人賠償責任保険 被害者の損害の填補が目的
対物賠償責任保険 被害者の損害の填補が目的
傷害保険 人身傷害保険 保険者が被害者の損害賠償請求権を代位取得することに対応して被害者が損害賠償請求権を喪失する 保険者の代位の範囲については争いがある
無保険車傷害保険 代位規定あり(保険法25、約款)
自損事故保険 × 定額給付方式であり損害填補が目的でない
搭乗者傷害保険 × 代位取得しない旨の規定あり
定額給付方式であり損害填補が目的でない
車両保険 代位規定あり(保険法25) 過失相殺時の免責の範囲については人身傷害保険と同様に自己の過失分から充当されると解される
自動車任意保険 生命保険契約に基づく保険金 × 保険料の対価たる性質
生命保険の傷害給付金、入院給付金 × 保険料の対価たる性質
損害保険の傷害保険、医療保険 × 保険料の対価たる性質
所得補償保険 保険者が被害者の損害賠償請求権を代位取得することに対応して被害者が損害賠償請求権を喪失する

3. 損益相殺該当性と費目限定

⑴ 自賠責保険

自賠法16条に基づく被害者請求による損害賠償額は、損害額から控除されます。

ただし、自賠責保険は、人身損害に関して被害者救済をする趣旨で設けられた規定です。

したがって、被害者の損害額のうち、人身損害に対してのみ控除することになります。

後述する労災保険とは費目限定がないという点で異なります。

⑵ 社会保険給付

社会保険給付については、給付の目的・性質、代位規定の有無等から損益相殺該当性が判断されますが、加えて、給付の目的・性質に従い、費目限定があるという点に注意が必要です。

① 労災保険
ア 通常の給付

労災保険については、代位規定があるため、損益相殺の対象になります。給付の性質に応じて、控除される対象が異なります。❶療養給付は治療費、❷休業給付、障害給付、傷病給付については休業損害及び逸失利益、❸遺族給付は死亡逸失利益、❹相殺給付は葬儀関係費、❺介護給付は介護費用に対して控除されると解されます。

なお、❶療養給付が治療費以外の積極損害に対して填補されるかは争いがあり、裁判例でも異なる判断がされています。

イ 特別支給金

社会復帰促進等事業による特別支給金については、損益相殺の対象にはなりません。労働福祉事業の一環として行われ、代位規定もないことから損害填補の性質はないと解されるためです。

② 公的年金制度に基づく給付

公的年金制度に基づく給付についても損益相殺の対象となります。

遺族年金の控除の対象は、逸失利益についてのみです(費目限定)。
また、控除の対象となるのは、支給を受けることが確定した遺族年金の額です(時的範囲)。

さらに、当該遺族年金の給付対象となる受給権者のみが対象となり、他の相続人は控除の対象となりません(人的範囲の問題)。

③ 公的医療保険制度による給付

健康保険法や国民保健法に基づく給付についても、代位規定があり損益相殺の対象となります。

ただし、給付の性質により、療養給付は治療費、傷病手当金は休業損害に対して控除されることになります。

④ 生活保護法による扶助費

生活保護法による扶助費については、従前は控除対象にはならないとされていました(最判S46.6.29)が、生活保護法の改正により代位規定が設けられたことで、損益相殺の対象となると解されています。

⑤ 身体障害者福祉法による給付

身体障害者福祉法による給付については、社会福祉事業の一環として行われる点や、代位規定がないことから、損害填補の性質がなく、損益相殺の対象とはなりません。

⑶ 自動車任意保険

自動車保険(任意保険)については、大きく分けると、責任保険、傷害保険、車両保険に分けられます。

① 責任保険

責任保険とは、被保険者が損害賠償の責任を負うことによって生じる損害を填補するための保険であり、責任を負担する加害者のための保険です。

責任保険に基づく給付は、損害填補が目的ですから、損益相殺の対象になります。

② 傷害保険

傷害保険とは、被保険者の傷害を原因として保険給付がなされる保険です。

ア 人身傷害保険

人身傷害保険とは、車両の運行に起因する事故等による傷害に対する保険です。

当該保険による給付により、保険者は、被害者の損害賠償請求権を代位取得する結果、被害者が損害賠償請求権を喪失すると解されています。

したがって、損益相殺的な調整の対象となると解されています。

調整の方法については、種々の考え方がありますが、今回は省略します。

イ 無保険車傷害保険

無保険車傷害保険とは、無保険自動車により被保険者が被った損害について、賠償義務者がある場合に限り、保険給付がなされる保険です。

保険代位又は約款の規定により保険者が被害者の損害賠償請求権を代位取得することから、損益相殺の対象になります。

ウ 自損事故保険

自損事故保険とは、自損事故により被保険者が傷害を被った場合に保険給付がなされる保険です。

当該保険については、定額給付方式であり損害填補を目的としないものであるため損益相殺の対象になりません。

エ 搭乗者傷害保険

搭乗者傷害保険とは、被保険自動車に搭乗中の者が急激かつ偶然な外来の事故により傷害を被った場合に保険給付がなされる保険です。

当該保険は、自動車の搭乗者及びその相続人を保護するために定額給付をする趣旨で設けられたものであり、被害者の損害填補を目的としたものではないため、損益相殺の対象にはならないと解されます。

③ 車両保険

車両保険は、偶然の事故により被保険自動車に損害が生じた場合に保険給付がなされる保険です。

保険者は、給付により被害者の損害賠償請求権を代位取得するため、損益相殺の対象となります。

損益相殺の仕方については、被保険者に過失がある場合、当該被保険者自身の過失部分から充当されると解されます。この点は人身傷害責任保険と同様です。

⑷ 車両保険

① 生命保険契約、損害保険契約に基づく給付

これらの給付は、被保険者の支払っている保険料の対価として支給されるものであることから、損益相殺の対象にはなりません。

② 所得補償保険

所得補償保険とは、被保険者が傷害又は疾病のために就業不能となった場合に、被保険者が喪失した所得を填補するための保険です。

保険者は、当該給付により被害者の損害賠償請求権を取得する結果、被害者は損害賠償請求権を喪失すると解されます。

したがって、損益相殺の対象となります。

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4. まとめ

損益相殺該当性及び費目限定の範囲について中心にご説明いたしました。

人身傷害保険の代位の範囲の問題や過失相殺との控除の先後関係の問題等他にも論点がありますが、これらは別の記事でご紹介いたします。

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